水道水ガイド
水道水の話
私たちが利用している水道水は、雨となって地表に降り注いで溜め込まれた海や川、
湖その他動植物などから蒸発した水に浄水処理を施して、私たちのもとへと届けられています。
高度経済成長期、住宅地が拡大するにつれて水源地やその付近にも住宅や工場が建設され、
排水が水源に流れ込むようになりました。
さらに農薬汚染、工場からの廃液、産業廃棄物にまぎれた有害物質等によって水質汚染が進み、
より高度な浄水処理が必要とされるともに、より遠くのきれいな水源を求めるようになったのです。
現在では、原水を浄水場に取り込んだ後に、大きな砂や土を沈殿させ、
さらに薬品によって細かな砂や土を沈殿させたものを濾過、
その後塩素による消毒を施す3段階の浄水処理を行っています。
この消毒に利用された塩素は、水道管へ水道水を送り出す前にその大部分は除去されます。
しかし、完全に除去すると浄水場から家庭に送られる間に再度細菌が繁殖する可能性があるため、
日本では水道法によって、残留塩素の一定値が定められています。(1リットル中0.1ミリグラム以上)塩素が含まれた水では、
細菌が繁殖することができないからです。
水道水の安全性と新たな問題
日本の水道水の安全性を保障している塩素ですが、 同時に新たな問題も生んでいます。 まず、水道水の味を落とすカルキ臭。 この臭いは、塩素そのものの臭いではありません。 水道水に加えられた塩素が水中のアンモニア成分と反応することによって発生してしまうのです。 加えられた塩素の量が増えるほど、カルキ臭も強くなります。
ですから、水源の汚染がひどい地域ほど、水道水のカルキ臭は強くなるでしょう。 また、塩素はビタミンを破壊する性質を持つことが知られています。 水道水で食物を洗うと、その食物中に含まれるビタミン類の10%~30%が損失するとも言われています。 お米を洗ったり、スライスした玉ねぎを水にさらしたり、キッチンで水が果たす役割は様々。 これを水道水で行うと、多くのビタミンが、そこに含まれる塩素によって失われてしまうのです。
また、水道水で手洗い、洗顔、洗髪をして、肌がカサカサ、あるいは髪がパサパサになってしまったなんていう経験をしたことはありませんか? これは、塩素が肌や髪のタンパク質を破壊し、細胞にダメージを与えたため、肌や髪の保水力が低下してしまったことが原因です。 乾燥肌の原因やアトピー性皮膚炎が悪化する原因の一つにもなっていると言われています。
さらに、塩素は、水中の有機物と塩素が化学反応を起こすと、トリハロメタンを生成します。
このトリハロメタンは発がん性物質。近年の研究により、大量に摂取すると、
中枢機能低下、肝臓障害、腎臓障害などの恐れがあることもわかってきました。
アトピー性皮膚炎やぜんそくの悪化、集中力の低下、疲労感等、様々な症状がこのトリハロメタンによって引き起こされる可能性があると言われています。
そして、塩素は煮沸によって取り除くことが可能ですが、トリハロメタンは、取り除くためには40分以上も継続して煮沸しなければならず、
単なる沸騰状態では2~3倍も増加するという性質をもっています。このため、中途半端な煮沸は逆に危険なのです。
鉛という問題
なお、水道水の問題は塩素だけではありません。
鉛製の水道管を使用している場合、そこから溶け出る「鉛」も大きな問題となります。 現在は使用を禁止されていますが、未だに全国の水道設備の25%程度に鉛製の水道管が残っていると言われています。
鉛は水に溶けやすく、体外に排出されにくいという特性をもっています。 鉛製の水道管を使用している場合、水道水を使用していない間の滞留水に鉛が溶け出し、 その結果、基準値を大きく超える値の鉛が検出されるケースも発生するのです。
体内の鉛は脳炎や腎臓障害を引き起こし、不眠や疲労感、頭痛などの原因になることもあります。
このため、水道局では、鉛製の水道管の取り換えを推進するとともに、朝一番の水は飲まないようにという指導を行っているのです。
経済性と手軽さを両立させた「ウォーターサーバー」
このように、原水の水質汚染問題に加え、浄水処理時に発生する問題、家庭への配水時に発生する問題があり、 現在では、水道水に「安全」を求めることは難しい、というのが現状のようです。 安心して水を得るためには、浄水を自分で更に行うか、安全な水を他から購入するか、しかありません。
現在、飲料用にミネラルウォーターを買う人が増え、その数は年々増加しています。 成人に必要な一日の水分量は2リットル。そのうち60%前後を飲料水として摂取し、残りは食事によって摂取されます。 その全てを市販のミネラルウォーターで賄うとなると、経済的にも負担が大きくなります。
またペットボトルから水を注ぐ手間は、蛇口をひねると出てくる水にはかないません。 そこで、経済性と手軽さを両立させたものとして「ウォーターサーバー」が登場し、注目を集めています。